see you next week! ― 2004/07/01 23:32
昨日深夜のベストヒットUSA、Time Machineのコーナーでマイケル・ジャクソンの"Black or White"が流れた。おお、懐かしい。彼もアルバムを買うほど好きではなかったとは言え、ラジオやプロモーション・ビデオで流れる曲を単純に楽しめたのはこの頃くらいまでだろうか。独特のダンスの切れはやはりかっこいいなと思えるし、次々と出てくる世界各国の舞踊をうまくマイケルの踊りと絡めるやり方は振り付け師の人、お見事!と思う。歌詞自体はまあ単純な(?)メッセージ・ソングだが、既に当時どんどん白くどんどん別人になっていたまいこーの「僕が黒かろうが白かろうが鼻がどんどん細くなろうが気にしないで下さい」ソングだったりして、と深読みしてしまったのを思い出したり。最近はすっかり本人の奇行やスキャンダルばかりで音楽の方面もぱっとしないと思っていたが、小林克也氏によると本人は音楽をやりたいのだが、実は彼の作品は「没」になるものがかなり多いらしい。そう言えばプリンスなどと違って、マイケルの場合どんなにヒットしても彼自身の「曲作りの才能」とかいう側面を論じている記事などを目にした記憶がない(特に探さないからかも知れないが。いやプリンスも探さないけど)。もしかするともともと彼が書いた曲ってほとんどがそのままでは使い物にならないような代物で、周囲のプロデューサーやスタッフがもりもり肉付けをしてヒット曲に仕上げていたりするのだろうか。...あながちなくもなさそうでちょっと怖い。 まいこーファンの方すみません。
番組最後のリクエスト曲はA-haの"The Sun Always Shines on TV"。これはまた懐かしい。1985年?...20年近く前だ。驚愕。リード・シンガーのモートン・ハルケットが一時ソロ活動をしたりもしていたが、今でも同じ3人で活動して英国でも小ー中ヒットくらいは時々出しているようだ(本国ノルウェイではもっとヒットしているのかも知れない)。この曲に先立ってシングル・カットされたデビュー曲の"Take on Me"は非常にポップだったが、"The Sun..."はなかなか壮大で広がりのある雰囲気でモートンの歌唱力がますます際立っている感じだ。実際彼らのアルバムを買ってみると中にはアイドルポップ・グループの曲とは思えないようなえらく渋いと言うかキモチワルイ曲も多くて、曲作りをほぼ一手に引き受けているポール・ワークターの好きな音楽がドアーズとかピンク・フロイドと聞けば納得も行くのだが、このラジオでもほとんど流れないようなキモチワルイ曲をまたモートンの声が高低自在に使い分けて更に見事におどろおどろしく歌っていて、何度も聴いていると不気味気持良くなってくるのだった。このあたりシングル・カットする曲選択における戦略のうまさもあるのだろうなと思うが、普通のアイドル・グループと思ったら意外に底知れなくてのめり込んでしまったという人も結構いるのだろうなーと思ったり。何よりそういう複雑な音を完璧に歌い切れるだけの歌唱力を持ったモートンという歌手を得たのがこのグループの最大の幸運だったのだろうし、逆にモートンにしてみれば自分の声を十二分に生かせるような曲作りをする作曲家に会えたのが幸運だったということだろう。学生時代武道館の来日コンサートにも行ったなあ。モートンの頭を斜め75°くらいから見下ろすような凄い席だったけど。
さてユーロ2004、昨日の準決勝第一戦でポルトガルがオランダを破って決勝進出。試合は放送されず観られなかったが応援していたポルトガルが勝ってくれてとても嬉しい。今日と言うか明日早朝はもう一チームを決めるためのチェコ×ギリシャ戦、できればチェコ×ポルトガルを期待しているのだがギリシャも勢いが出ているし油断できなさそうだ。もうここまで来ると何でもいいから頑張って下さいとも思うが、やっぱりどきどき。
展覧会の絵 ― 2004/07/02 23:34
ユーロ準決勝は延長前半の終了直前にギリシャがコーナーキックからゴールに繋げて決勝進出。できればチェコに勝って欲しいと思っていたのだが、ここまで守って守ってチャンスをものにしたギリシャの頑張りに拍手といった気分だ。次はいよいよ日曜深夜の決勝戦、奇しくも開幕第一戦と同じポルトガル×ギリシャの試合だ。今度こそポルトガル頑張れー。
今週末で会期終了の「オランダ・フランドル絵画展」を観に久し振りに上野の都美術館に行ってきた。今回の展覧会はウィーン美術史美術館の所蔵品の一部、16世紀のネーデルラント絵画と17世紀のフランドル及びオランダ絵画の展示。この時代の絵はもっと以前からあった神話や聖書を題材にしたものと並んで、寓意を取り入れたものや当時の庶民の生活を描いたものも多くて面白い。大まかなところは絵の横のプレートに説明されているのだが、画面の隅っこの方にいる妙に丁寧に描かれた謎の動物とか変に表情豊かなおじさんとかも気になる。宮廷の描写でも庶民の日常生活の場面でも大抵人の傍に犬がいるのも当時の生活が垣間見えて面白い。これが寓話とか伝説風の絵になると猿もいたりするが、複数の画家がずいぶん熱心に猿を描いているのは流行か何かだったのだろうか。しかし不思議なのは、一見当時の生活振りや情景を描いたものなのになぜか横の方に裸の人達がいたりする絵ががあることだ。神話や何かならともかく(それでも「通りかかった誰某に寝姿を見られてトラブルに」とかいう話はそもそも屋外で素っ裸で寝たりするからだ、と思うが)、馬の水飼い場を歩くドレスを着込んだ婦人とその連れの男性から少し離れた場所になぜかどう見ても裸の人達の後ろ姿が(水浴び中?)描かれていたりするのは一体何の意味があるのだろう。あのご婦人が知らずに近付いてきたら凄いことになりそうだ。
ブリューゲル父子やファン・ダイク、ルーベンス、レンブラントなどの著名な画家の作品も数点ずつあったが、何と言ってもこの展示の目玉はこの数年日本でもごんごん人気が高まってきているヨハネス・フェルメールの絵だ。実際今回の展覧会の彼の作品は「画家のアトリエ」一点のみだが、展示の最後の最後に特別スペースを取って細かい説明のためのパネルを幾つも配し「さあクライマックスです」という感じの特別扱いである。まあ数年前に「恋文」が来た時は展覧会の題名からして「フェルメールとその時代展」(やはりフェルメールは一点だけ)とか何とかで「アトリエ」よりもずっと小さい絵をえらく大げさに飾ってあったので、あれよりはいいだろうか。絵の絵画としての価値は号数の大きさとは関係ないし、フェルメールの現存する絵は点数が少なく所蔵美術館もあちこちにばらけていたりして一点でも来日するのは貴重な機会なのかも知れないが、あまりに大仰な扱いをされるとかえって興醒めしてしまうというのはある。
とか何とか言いつつわたしもフェルメールの絵は好きなので、この機会に実物をじっくり観られたのは嬉しかった。「恋文」もそうだが、「アトリエ」も設定された場面を描いた作品を鑑賞しているというよりは自分がたまたま実際にその場に居合わせたような印象を受ける、ちょっと不思議な絵だと思う。こちらに背を向けた画家が部屋の奥に佇むモデルを描いているという絵の中にも色々な寓意が表されているということだが、それらを除けてもモデルの表情とか彼女に当たる窓からの光とか全く顔の見えない画家の存在感とか全体の明暗とか、決して派手ではなくむしろ静かな雰囲気なのに目を引かれるのは、画面の切り取り方が非常にうまいこともあるのかなとも思う。一緒に行った友人とお揃いでこの絵のセラミック・マグネットと、あとは気に入った展示作品の絵葉書を何点か買った後に駅ビルの和食の店でお昼を食べ、さらに新宿に移動してデザートなど。外食どころか都心に出たのも久し振りだし、色々沢山お喋りしてたいそう楽しゅうございました。しかし都美術館、行く度に思うがもう少し建て方を何とかできなかったのだろうか。美術館じゃなくて元々普通のオフィスか何かが入っていた建物に無理矢理展示しているような感じだ。もう少しゆったり鑑賞したい...
お疲れ春の女神 ― 2004/07/03 23:37
昨日行った展覧会で何だか非常に怖かったヤン・ブークホルストの「フローラ」。というわけで下の絵は商品の...じゃない絵を観た時の個人的イメージです。かなりてけとーな絵だがこんな印象だったということで。
こんにちは...春ですよ...え、私ですか?春の女神ですよ...いえね、地球と同じくらい生きてると毎年花撒いて歩くのもいい加減しんどくなりましてね...若く見えても足腰弱ってきてますし..最近皆に顔色悪いって言われるんですよ...冬の女神に職替えしようかしら...服着せてもらえるかも知れないし...
全体の肌色が悪いわけではないのだが、影部分に妙に彩度の低い灰色を使っているせいか物凄く顔色悪そうに見える。体格はいいがいやに猫背だし、普通フローラと言えば太っていてもつやつやぴちぴちなのだがこれも色のせいか何となくぶよんとして見えて不健康そうだ。これ、なんか、フローラですか...?と思わず呟いた大作。保存が悪かったとかで色が変質...でもなさそうだし。 この絵が好きな方がいらしたらすみません... |
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しまった ― 2004/07/04 23:40
今日何をしたかと言えば、前日から朝方まで本を読んでいたので昼過ぎまで寝てた→起きてメイルチェック等→遅い昼食→読書続行→また寝る→また少し読む→寝る
...の繰り返しで暮れてしまった。とにかく眠かったんです...今日はこれからユーロ2004の決勝戦なので、まあその分寝だめした...と無理矢理思うことにしよう。明日は朝から仕事が入るけど。
で、今読んでいる本はアガサ・クリスティの"The Murder on the Links"、エルキュール・ポアロものだ。クリスティは高校ー大学生の頃に翻訳版の文庫を読んでいたが、当時はミス・マープルものの方が好きだったので、ポアロは短編は全部読んだが長篇は幾つか読まないままになっていたものもあった。それもあって英国のハーパー・コリンズ社から綺麗な表紙のペーパーバック・シリーズが出たのをきっかけに少しずつ買っては読み直しているのだった。この"The Murder on the Links"はどうやらその未読だったうちの一つのようで、原題に心当たりがなかったのでlink=環?それとも列車の連結部分とか何か?と思っていたら、links=ゴルフ・コースのことだったのが判明。そう言えば翻訳版に「ゴルフ・コースの殺人」とかいう題名のものがあったような記憶が。今回は事件が起こるのがフランス国内なので出てくる人達もフランス人が多い。ポアロの相棒のヘイスティングスの視点で書かれているやりとりも全てフランス語で交わされている前提なのだろう(そうかヘイスティングスはフランス語が話せたのか...)と思うが、言い回しなども普段の英語とは微妙に違うのが面白い。クリスティ自身かなりフランス語には通じていたのだろうか。そもそもフランス語が母国語の探偵(ベルギー人だが)を主役にするくらいだからかなり堪能なのかな。
祭りの後or後の祭り ― 2004/07/06 23:43
ユーロ2004はダーク・ホースのギリシャがポルトガルを1-0で押さえて初優勝。長い大会期間と思っていたがお祭りはすぐに終わってしまう。ポルトガルを応援していたので正直負けてしまって残念ではあるが、優勝候補と言われていた国が次々と脱落して意外な国が強さを見せたという点で面白い展開だったと思う。優勝したギリシャは地味だとか戦い方が守備的だとか言われていたらしいが、確かに華やかさは足りないかも知れないとは言え強豪国を相手に延長戦になっても終始落着いてがっちりと守りを固め、チャンスと見ると相手が体勢を整える間もなく電光のごとく突っ込みものにする、という判断はそれだけの積み重ねを経てきたからこそできるのだろうし、あの選手あの監督だからこそできたことなのだろう。ポルトガルもルイコスタを出すタイミングをもう少し早くしていたらもしかして違う流れにならなかっただろうか...と思わないこともないのだが、今回はそういうことも全て含めてギリシャに風が吹いたのかなとも思う。彼らにとっては色々な意味でこれからが大変なのかな。とにかくおめでとうギリシャ。
ギリシャと言えば、遠い昔の学生時代に学部主催の大所帯パックツアーヨーロッパ6ヶ国20日間文明開化の軌跡を辿るツアーで2,3日間だけ立ち寄ったことがある。8月後半の強く乾燥した陽射しに葉が白っぽく見えるオリーヴの樹が点々と生えた低い山が連なり、楕円型の大きな西瓜を山積みにしたトラックが埃っぽい道を進むわたしたちのバスの前をのんびり走っていた。首都のアテネはあまり建造物の規制がないのか、あまり日本と変わらないコンクリートの建物がそのまま古くなって寂れたような街角も多く、アクロポリスの丘だけが何か別世界のもののように中心にそびえ立っていた記憶があるが、フェリーで回った近海の小島は白い壁の家が段々に連なり、エメラルド色の海に鮮やかな赤やピンクの花が映えて、まさに憧れのギリシャという感じだった。
ガイドさんの説明によるとギリシャの人達は(少なくとも当時は)日本人を勤勉な国民として好意的に見ているということで、実際に(集団ツアーで最小限接触するような)多少やり取りをした人達は皆にこやかで当たりが柔らかかった(特に日本人と分かって相手をしていたわけではない人もいると思うが)。市内中心部の広場を一人で歩いていたら通りかかった男の子連れのお父さんが(頼んでもいないのに)そこの銅像の前で写真を撮ってあげる(なんか物凄く速く走っている人の残像もそのまま銅像にしたようなかなり怖い像だった)と言ってくれたり、クルーズ船では船内にいるのが勿体なかったので甲板をあちこち歩き回っていたら船員さんに操舵室に招かれ、舵を握らせてもらったり眼前に広がる海が一望できる窓のところに座らせてもらったりとサービス満点だった。多分中学生くらいの子が船に乗ってはしゃいでいると思われたのだろうなあ。
とか何とか書いていたらギリシャに行きたくなってきた。あの時は典型的団体ツアーで目まぐるしく要所要所を回っただけだったが、もっとゆっくり滞在して自分のペースであちこち回ったらきっともっと楽しいだろう。ザゴラキスやニコポリディスみたいな兄さんおじさんが目白押しかも。...かなり行きたいぞ、ギリシャ。
全然関係ない(と思う)のだが二週間くらい前にいきなりどこかから出てきて忘れられない名前。 「パパンドロス」って誰だっけ...心当たりのある方こっそり教えて下さい。
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