ルーヴル展2006/07/23 23:18


鑑賞券があるので行かない?と友人に誘われ、思いがけず東京芸術大学大学美術館で開催中のルーヴル美術館展へ。遅れまくって音沙汰なしだったSOHO通信社(勝手に決定)のニュース原稿が結局この週末に入ってきていたのを出かける前までに終わらせてちゃっちゃとメイル送信。この後ゆっくり遊べると思うと頑張ります。東京芸大の美術館は行ったことがなかったのだが、なるほどあんなところにあるのか。大学自体も美術館のすぐ向かいだし、いい場所ですな。大学は既に休みに入っているらしく古そうな木製の門が閉まっていたが、その門に小さい扉(通用門と言うか扉と言うか)がついていて時々お嬢さん方が出入りしていた(こんこん叩くと内側から警備員さんが開けてくれるらしい)。何だか可愛いぞ。

美術展の方は、11時半くらいに行ったら既に建物の外まで列ができていたのでうわーと思ったが、それほど待たずに中へ。それでもさすがに週末、相当な人出だった。というか一階の展示室がはっきり言ってかなり狭い。3階の展示室は展示物が大きなものも多かったので仕切らずに割と広々した感じで展示してあったが、やっぱりこの規模の美術展を呼ぶにはちょっと建物が狭いんじゃなかろうか。都美術館ほど最初から最後までフラストレーション溜まりまくりじゃなかったけど、神話関連の人物や歴史上の人物でも「えーとそれ誰だっけ」という人も結構いるので、一言説明書きがあるとよかった気がする。作品番号1の『トゥキュディディスの肖像』からして「誰?」状態だったし。友人がこれって歴史に出てきた「ツキディディス」のことじゃないの、と言ってくれたのであーそれなら聞き覚えあるね、まではいったけど結局どういう人だったか思い出せず。検索してみたら著書もある戦略家?みたいですな。かっこいいおじさんだったのだなツキディディス。

展示自体は大変面白かった。春に行ったロダンとカリエール展から彫刻中心の美術展づいているような気がするけども、彫刻って楽しい。当たり前だけどなんてったって360度全面観られるわけですよ。古代ギリシア芸術がテーマなので当然大半が神話の神々なわけだが、これらが彫られた時代が紀元前数百年からせいぜい新しくて(全体と比較してですよ)3,4世紀だから、つまりキリスト教などというもの自体存在して(広まって)いない時代の、ゼウスもヘラもアポロンもアテナもアフロディテも本当にいるのだ!と信じてた人たちが作った彫刻なわけで、この力の入れようはやはり後世のキリスト教的観点から見てギリシア神話を題材にした彫刻や絵画とは根本的に違うと思う。その当時のものを今でも実際に観られるのはそれだけで凄いことだと思うのだ。よくこんなに沢山残ってたなあ。アンフォラなどの陶器類も結構たくさんあって面白かった。彫刻はあんなにリアルなのに、壺に描いてある絵の人物はエジプトの壁画のようなデフォルメした絵柄なのが不思議だったり。技術や材質面の限界もあるのかも知れないけど、彫刻と絵画の発展はそれぞれ別なのだろうか。

しかしもっと不思議なのは頭も腕も欠けちゃって無くなった彫刻なのに「アフロディテ」とか「アポロン」と断言して展示してあるもの。よく題材になる神話関連の人物はある程度「お決まりのポーズ」(または彫刻家が共通してよく作るポーズ?)のようなのがあるらしいのでそういうところからも判断するのかも知れないが、もしかして全然違う人だったらどうするんだろう。いや彫った人ももういないから違ってても誰も分からないか。こういう判定って歴史学者とか美術関係者とかがするんだろうな。あちこちから見つかる作品を沢山見てこれとこれとこれには共通したポーズがある、とか気付いたりそこから推測して「これは誰々の彫刻だろう」と判断するのはかなり楽しそうだけど、ある程度名の知れた学者が「これはアフロディテです。絶対です。」と言ったら実は普通の村娘のわけだったんだけど女神様になってしまった像とかもあったり...しないかな。

完全な彫刻だけでなく墓碑や記念碑に神話の一場面や複数の人が彫られたものも多かった。中には「決議碑文」とか「会計碑文」なんてものもあって、人物像の下にずらずらーーーっとギリシア文字が彫ってある。古代文字なんだろうから現代のギリシア人が読んでもあまり意味が通らないのだろうか。何が書いてあるのか分かったらもっと面白そうなんだけどな。この場合書いてあることがつまらんことであるほど精密に彫られた彫刻部分と対比して面白いと言うか。「○○の法案は全会一致で否決。神殿増築問題は来期まで審議持ち越し」とか「今年度決算は××ドラクマ(古代の貨幣単位はドラクマじゃなかったかもしれないけど)の赤字」とか書いてあったりするんだろか。写真は外から見た大学美術館。


たっぷりギリシア彫刻を観た後は、銀座に出て久し振りにエスペロでお昼。ウニのクリームスープと鱈と野菜の煮込み、デザートにはフラン(カスタード・プリン)。幸せです。でも隣の席のお嬢さん二人が5組分くらいの賑やかさで驚いた。その後ふらふら散策しつつローラ・アシュレイに入ったらなぜか去年のスカートがえらい値引きされて(去年のだからだろう)出ていて、今年の分の値下がり品と交互に試着して迷った末去年のを購入。去年も横浜で見た時しばらく迷ったものだったので、きっとこれはアフロディテがくれたチャンスなのだな(と勝手に解釈)。結構鮮やかで今まで着たことがないような色合いだったのだが、8枚接ぎなので形が綺麗なのだ。麻混なので涼しそうだし。この季節服を買おうと思うと第一条件が「涼しい服」なのです。

その後またふらふらして、「おいしい珈琲をどうぞ」の看板につられてガルリ・カフェ・ドゥでお茶。かなり歩いて二人とも疲れていたのでケーキも食べちゃうぞ。友人は和栗モンブラン、わたしはチョコレート・ケーキ(ショコラ・モワールとかなんとかいう名前だった)。カフェオレを注文したら大きめのカップになみなみと来たので嬉しかった。ガルリ・カフェは確か銀座に3個所くらいあって、どこも落ち着いていい雰囲気だけども、ここは壁にはえーと、ローランサンかな(多分)?の絵、照明はガレやドーム兄弟風のランプで統一されていてなかなかよい感じ。...ここもちょっと周りのお嬢さん方が賑やかだったけど。何か最近、店に入ると賑やかなご近所さんに恵まれる(いや恵みじゃないけど)ことが多いなあ。でもちょっと久し振りにたっぷり観て食べて歩いて喋って楽しい一日だった。お誘いありがとう>友人。

で、これが戦利品。お値打ち品スカート(後ろの布ね)と展示品の絵葉書。アフロディテの像はさすがにどれも綺麗だったが、ニケの像も可愛かった。一緒に売られていた丸い物体は古代ギリシアの人たちが食べていた「ラガナ」というパンだそう。これにはオリーヴが入っている。後で袋を見たらパンの製造元らしいお店のリーフレットが入っていた。買ったものは美術展のために作った限定品らしいけど何だかおいしそうなパン屋さん。地図を見たら表参道駅の近くらしい。近く友人と表参道探索に行けると思うのでその時に寄ってみようかな。手前の可愛いクッキーは友人に頂いたもの。綺麗なのでしばらく飾っておこう。