スティングでしたその2 ― 2011/01/19 23:58
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そんなわけで、昨日のスティング"Symphonicity"武道館公演の覚え書き。例によって長いです。一応解説しておくと、ツアータイトル(というのかよく分からんけど)のSymphonicityはSymphonyとThe Police時代の代表曲の題名でもある"Synchronicity"を合わせた造語...でいいんですよね。多分ね。まあそういうわけで今回はオーケストラと共演ですよ。ポリス時代からスティング自身のヒット曲から最近の曲まで、オーケストラ付きで演奏しちゃいましょうってな豪華な企画なわけです。前回のオーチャード・ホールの「最少人数二人」のコンサートの次がこれです。増え過ぎ。オーケストラは本国英国を含む欧州では英国のロイヤル・フィルハーモニック・コンサート・オーケストラだったが、日本公演は東京ニューシティ管弦楽団。指揮者はワールドツアー通して"Mastro" Steven Mercurio。 で、コンサート全体の感想は、とーーーても楽しかったの一言に尽きます。演奏の質も構成もいつもながらお見事。正直なところオーケストラとの共演という点では、わたし個人がこれ以前に見聞きしてきた同様の形式を採用したロック/ポップ系のミュージシャン以上の目新しいものが特にあったわけではないと思う。ただ、なるほどこれは結構いいかも、と思った点も割とあった。多分スティングの日本公演が決まった頃にもちょっと書いた記憶があるけれども、元々わたしはロック/ポップのミュージシャンがオーケストラと共演するという形式は、何かのお祭り的な単発ものならまあ面白いねと見ていられるけれども、音楽としてどうなのかというとどうしても違和感があって馴染めなかった。これがあったので、今回のスティング公演も一抹の不安、てほどではないにしても内心どうなのかな...というものはあった。同時にスティングがその辺りをどう見せてくれるのか楽しみでもあったわけだけども。 結果的には、以前見た記憶があるロックバンド+オーケストラのステージなどと同様後ろでフルオーケストラが演奏している割に、特に大きな違和感はなかった。生で間近で聴いたからいいと思うんだろうか、とも思ったが、多分アレンジの仕方かなと思う。過去に見た違和感を感じたステージでは、元々のロックの曲を何だか壮大な組曲か何かみたいにアレンジして本当のクラシックのように演奏しているところに、歌が入ると元通りばりばりロックな歌い方と演奏、なのが(自分的に)居心地悪かったのではなかろうか。そんなに色々見たわけではないしもっと違うアレンジをしていた人たちもいたかも知れないが、少なくとも自分の印象はそうだった。「クラシックみたいにしたかったんだけど...うまく融合しませんでした」みたいな。一方昨日のスティング公演では、(当たり前だけど)主はあくまでスティングと彼のバンドであってオーケストラは従、全体的には元の曲をバックアップして、要所要所でオーケストラの持ち味を出してアクセントをつける、といった感じだったので、ほとんど違和感を感じるところがなかった気がする。一曲だけ、第二部の一曲目"A Thousand Years"の時はちょっと楽器が余計だなと思ったが。弦楽器くらいで良かったんじゃないかというところに、管楽器とか妙にごちゃごちゃ入ってきて正直邪魔に感じた。独特の広がりのある雰囲気が好きな曲で、二部の始まりはこれだといいなと思っていただけにちょっと残念。 とは言え、前述の通り全体的には大変楽しめた。思うに、そもそもスティングのコンセプトとしては別に「クラシック風スティング」をやろうとしたわけじゃなくて、オーケストラの持ち味をどう自分のステージに取り入れるかってことだったのだろうか。Symphonicityという造語の元であるsymphonyには「交響曲」という意味の他にも「音の調和」という意味があるので、自分の元々の音(バンド)とオーケストラという別の媒体からの音を調和させる、という意味なのかも。交響曲の方で考えていたのと、自分の限られた音楽体験からの印象で早合点してました。ごめんねスティング。まあそれはそれとして、オーケストラの良さを十分楽しめたのはやはり"Russians"かな。元々リフレイン部分がプロコフィエフの『キージェ中尉』のモチーフを使っているのでちょっと楽しみだったが、冒頭に同じプロコフィエフの『ロミオとジュリエット』の導入部分を持って来るアレンジが粋じゃないですか。せっかくだから『Labyrinth』や『If On A Winter's Night...』からの曲もやって欲しかったなーとはちょっと思ったけど、まあ他に個人的に好きな曲が沢山聴けたので贅沢は言えまいよ。 とかつらつら書いていたら案の定やたら長くなったので、次回に続く。 |
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