話題のあの物質2006/12/06 23:18

今日もストウブで玄米ご飯。水を前回より更にすこーし控えたらしっかり硬めに炊きあがった。なるほど新米はこれくらいの水加減がいいのだな。何となく浅漬けっぽいものがあるといいかなと思って時々漬物を買う駅前ルミネの浅次郎商店で二十日大根を100g。漬物はみっちり浸かりまくったものより元の歯応えが残っている方が好き。こういうのは英語だとrelish(付け合わせとか薬味とか、食事全体にアクセントと言うか花を添えるような野菜とか)になるかな。ぼりぼりの歯応えがいいのだ。


普段仕事で主に扱っている翻訳は原子力関連のビジネス業界向けニュース記事なので、国単位の政策とか会議とか事故(とか不祥事)などに関連するもの以外は一般の新聞の科学面とか経済面でもそんなに出てこないような、業界関係者の他は反核団体の人くらいしかわざわざ読まないだろうなあという種類の記事がほとんどなのだが、たまに「なぜここにこんな話題が」と思うような記事が出てくる。今回週明けに出て来た記事、それも第1頁目の記事(つまりトップニュース?)がそれだった。日本でもえらく騒がれている(多分)「ソ連の元スパイ毒殺事件の謎」である。確かに使われた毒物が放射性物質ということで関係がない話題ではないと言えばないのだが(何かややこしいですか)、この記事そのものが結構長い割にはっきり言って「タブロイド記事・原子力業界版」とでも言えそうな気が。まあ主旨は「ロシア政府の反応からして(あまり積極的な協力は望めそうにないので)ポロニウムの出所特定は困難かも」ということだと思う(多分)が、業界ニュースの内容としては何か違うような。

勿論この事件そのものは人一人が明らかに不審な情況で亡くなっているわけだし、殺人だとすればしっかり究明すべき重大事件ではあるけれども、「原子力業界にとってはどうか」という視点から見ると、毒の出所がどこの施設だとか誰が持ち出したとか判明したわけでもないので、今のところ関係(あるいは関係しているかも知れない)国の業界に直接大きな影響があるとも思えないし。 確かに業界向けだけに(?)一般ニュースでは省かれるようなポロニウム210の詳しい特徴とか何と合わせてどう使うとか「それっぽい」情報はそれなりに多いとは言え、...それで?という気が。...まあこういう業界の人達も、自分の仕事に直接関係はなくても「放射性物質」と聞くと気にしなくはないだろうし、世間でも話題になってるし、普通のニュースじゃ教えてくれないその筋の情報も教えちゃいますよ社長!てことだろうか。しばらく前の「マドンナ夫妻が不思議なカバラ液による放射性廃棄物浄化を英国政府に訴え(9月4日の記事参照)」にしても、記者も毎日特殊な業界記事ばかり書いてるとたまにはこういう三面記事的な話題を発作的に書きたくなるのだろうか、とか思ったり。

とは言いつつ、自分自身元々文学畑の人間だし、発電所とか鉱山とか米国議会のエネルギー予算とかいう話題よりは正直一般ニュースの方が単純に訳としてやりやすいし、特に今回のリトビネンコ氏の事件はそれこそスパイ小説を地で行っているような展開が気になってBBCサイトである程度ニュースを追っていたので、普段より興味深くと言うか熱心に訳したり。ちなみにこのポロニウム210、核兵器関連の使用が大半で民間での利用はほとんどないそうなのだが、唯一空電除去装置(static eliminator、静電気、あるいは微細な粉塵などを除去する装置?らしい)というものに使用されているとか。しかしこの装置一台に使われているのはリトビネンコ氏の毒殺に使用されたと思われるポロニウム210の量と比べると非常に微量なので、「犯人が何千台もの空電除去装置からポロニウムを集めるというのはほとんどあり得ない」と捜査当局の方はおっしゃっているそうな。...そりゃそうでしょうな。でも一応可能性は考えたのか...ともあれ、お陰で(?)思いがけずポロニウム210について半端に詳しくなった翻訳者がここに一人。あくまで「物凄く半端に」だし、一般人の手にはまず入るものじゃないので実生活に役立つ可能性は全くなさそうだけど。  いや手に入ったら役立てたいのにとかいうことじゃないですよ。


仕事を上げた後、先日ひっっっさしぶりに再開した学生時代お世話になった英国人の先生とお茶。先生がその後用があったので一時間程度だったが、色々とお互いの近況を話したり日本語の勉強(?)をしたり楽しかった。先生ちっともお変わりなくて明るくてチャーミングだこと。先生は日本に住んで長いので日本語もかなり上級レベル(だと思う。多分。)らしいが、毎日単語カードを持ち歩いているらしく、カードには最初に自分が書き込んだ単語の他にも「茶道教室で出て来た道具の名前(←道具の絵付き)」とか「貰いもののお菓子の包装紙に書いてあった名前」とか「ペットボトルのお茶の名称」とか日々あちこちで書き留めた漢字が。凄いわ先生。そう言えば自分も修士生の頃とか英国に留学していた時は小型ノートを持ち歩いてたなあ。またああいうの作ろうかな。仕事では英語も読む書くばかりで聞く話すの機会がないし、日本語のことを色々聞かれて説明すると自分自身色々気付くことがあって勉強になるのでこういう機会は大変嬉しい。これからもちょくちょく会いましょうね、と約束。次は年明けかな。

昨日と同じ薄揚げと大根の炊いたんに豆をプラス。実家からの荷物になぜかビニール袋入りの塩茹で豆が入っていたのだった。お揚げと大根が大体できあがった頃に仕上げに入れたが、硬めに茹でてあったので歯応えもあっておいしゅうございました。